子宮がんは、「子宮頸がん」と「子宮体がん」に分類されています。この内、通常は「子宮頸がん」が検診の対象となります。
※子宮がん検診の担当責任医師
子宮の入口である子宮頸部に発生するがんです。通常、子宮頸部の腫瘍性細胞は上皮内で一定の時間をかけてゆっくりと増殖します。これを子宮頸部上皮内腫瘍と呼び、前がん状態とされています。この状態の病変を見つけることが重要です。
子宮頸がんの大部分は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の持続的な上皮への感染によって発生するとされています。HPV感染は性交渉により生じ、多くの女性が一生に一度は感染すると言われる、ありふれたウイルスです。感染=がんではなく、通常はウイルスに感染しても、免疫機能により排除されますが、ウイルスが排除されずに長期間感染が続く場合があり、ごく一部の人で細胞ががん化する事があります。
2022年度「国民生活基礎調査」の子宮頸がん検診の過去2年間の受診有者は43.6%でした。
また、子宮頸がんは、20歳代、30歳代の若い世代の患者さんが増えています。
子宮頸がんでは、初期にはほとんど自覚症状がありません。そのため、定期的に検診を受けることで早期発見が重要です。
子宮体がんは、その95%は子宮内膜から発生する事から、子宮内膜がんとも呼ばれます。子宮体がんは40歳後半から増加し、50歳代から60歳代で最も患者数が多くなっています。肥満・高血圧・糖尿病といった生活習慣病との関係が指摘され、近年、日本で増加しつつあるがんのひとつです。
問診票に、月経周期や直近の月経の様子、妊娠歴、閉経した年齢などを記載していきます。また、診察室で医師からの質問に答えます。
腟鏡を腟内に挿入し、子宮頸部を観察します。おりものの状態や炎症の有無を目で確認します。
子宮頸がん検診では、ブラシなどで子宮頸部から細胞を採取し、異常細胞がないか顕微鏡検査を行います。ほとんど痛みは無く、短時間ですみます。この際に少し出血することもありますが、一時的なもので心配する必要はありません。
当財団の健診センター(富安)では、令和5年度から経腟超音波検査を検診に組み入れて、子宮内膜の観察による子宮体がん検査の必要な方の抽出に応用しています。また、子宮内膜症や小さめの子宮筋腫等の良性子宮疾患や卵巣腫瘍等の発見に努めています。
鳥取県では、子宮頸がん検診を受診する方の中で、主に閉経後で不正出血のある方を子宮体がん検診(細胞診)の対象者としています。子宮体部の細胞診は気分不良や痛みを伴う場合がありますので、不正出血等の明らかな自覚症状がある場合は医療機関の受診をお勧めします。
※当事業団では、鳥取県の「健康診査の手引き」に沿って実施しています。 詳細は、県のホームページ(ここ)をご覧ください。
【細胞診/HPV検査併用検診】
液状化検体法を利用すると、前述の細胞診と同一の検体でがん化と関連するHPV(ハイリスクHPV)の検出が可能です。県内の市町村の一部では、すでに実施されているところもありますので、市町村にお問合せください。
【HPV検査単独法】
採取した細胞がハイリスクHPVに感染しているのかどうかを先に検査し、HPV陽性者に対して同一検体で細胞診を行う方法です。
最近、国が示したガイドラインでは30-60歳が対象とされています。実施に際しての様々な課題もあり、現在のところ県内の市町村での実績はありませんが、近い将来導入される可能性があります。
※ 皆川幸久 (鳥取県保健事業団総合保健センター長)
・産婦人科専門医(日本専門医機構)
・婦人科腫瘍専門医(日本婦人科腫瘍学会)
・細胞診専門医(日本臨床細胞学会)
・超音波専門医(日本超音波医学会)
・がん治療認定医(日本がん治療認定医機構)
【子宮がん検診のお問合せ】
細胞検査室
Tel:0857-30-4860
E-mail:kikaku01@torihoken.or.jp
【検診の予約】
企画調整課
Tel:0857-30-4883
E-mail:kikaku01@torihoken.or.jp