水は人間の生命の維持に欠かすことができず、生活する上でも大変重要なものですが、反面病原体や有害物質の媒体として疾病や障害を引き起こし、あるいは農薬使用や工場排水による河川や地下水の汚濁が、思わぬ有害作用や脅威を人に及ぼします。環境の一部を構成している水は、絶えず循環を繰り返しています。地上の水は蒸発と発散により大気中に放出され、これらの水は凝結し、雨となって再び地表に落ちてきます。
また、水道水や井戸水は人々の生活用水として使用された後、下水処理場で浄化されて公共用水域に放流され、あるいはそのまま側溝や水路に流されます。そして、この水が浄水場で浄化された後、再び飲料水・生活用水として私たちのもとへ戻ってきます。 一般遊泳用プールは、平成19年厚生労働省健康局長通知「遊泳用プールの衛生基準について」に基づき、学校の水泳用プールは、学校保健安全法に基づき、それぞれ水質検査を行っています。また、公衆浴場水については、平成12年厚生省生活衛生局長通知「公衆浴場における衛生等管理要領等について」に基づき水質検査を行っています。
河川水、湖沼水等は、昭和46年環境庁告示第59号「水質汚濁に係る環境基準について」に基づく、地下水は平成9年環境庁告示第10号「地下水の水質汚濁に係る環境基準について」に基づく水質検査を行っています。
工場及び事業所から直接公共用水域に排出される排水については、水質汚濁防止法に基づく水質検査を行っています。また、工場及び事業所から公共下水道に排出される排水については、下水道法に基づく水質検査を行っています。
浄化槽、集落排水処理施設から公共用水域に排出される放流水の水質検査を行っています。検査の項目は、生活環境項目としてpH、BOD、COD、SS、大腸菌群数、全窒素、全リン等です。BODやCODは水の汚れ具合を表す指標ですが、浄化槽や集落排水処理施設からの放流水はBODの値で規制(浄化槽は規模によって異なる、集落排水処理施設は20mg/lです。)されています。
近年世界中で騒がれている内分泌攪乱化学物質、いわゆる”環境ホルモン”の分析です。現在、分析対象の試料は、河川水、海水等の環境水がほとんどですが、下水処理場の流入水や放流水、底質なども分析しています。環境ホルモンは、ごく微量で生物に影響を及ぼすことから、非常に低濃度での分析が要求されます。通常の飲料水や環境水の分析がppbレベルであるのに対して、環境ホルモンはその1000分の1であるpptレベルが要求されます。なかでも、フタル酸エステル類やアルキルフェノール類の分析は、非常に困難な分析です。
産業廃棄物や汚泥を埋め立て処分したり、焼却灰を処分したりする場合に、重金属等の有害な物質が含まれていないかどうかを分析します。検査の項目は、処分場の受け入れ規制や処分する物によって異なりますが、一般的にはカドミウム、鉛、水銀、六価クロム等の有害な重金属で、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づく検査です。底質分析は、海底土砂や河川底土の分析で、「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律」に基づく検査を行っています。土壌の分析は、平成3年環境庁告示第46号「土壌の汚染に係る環境基準について」に基づく検査を行っています。
悪臭測定は大気測定の一種で、ガスクロマトグラフを用いた機器測定と臭気判定士による指数の判定があります。現在悪臭防止法において22の物質が特定悪臭物質として規定されており、各事業場に応じた物質をそれぞれ測定しています。下水処理場ではアンモニア及び硫化水素や硫化メチル等のイオウ化合物、畜産場ではアンモニア及びプロピオン酸やノルマル酪酸等の低級脂肪酸、工場ではトルエン、キシレン等の有機溶剤やアルデヒド類を測定しています。
鳥取県には主要な温泉地が10箇所(岩井・鳥取・吉岡・浜村・鹿野・羽合・東郷・三朝・関金・皆生)、泉源数は300箇所余りあり、毎年多くの人が保養、療養のため利用しています。また、近年は特に余暇時間の増加、健康志向に伴い温泉利用の需要は増加しています。知事の登録温泉分析機関として、温泉成分の分析はもとより温泉利用に関する依頼・問い合わせにも応じています。
■温泉の定義
●温度・・・温泉源から採取されている時の温度が25℃以上。 浄化槽管理者の責務として、浄化槽の水質に関する検査を受けなければならないことが、法律で規定されています。当事業団では、鳥取県知事の指定検査機関として、県内全域の法定検査を行っています。
■浄化槽法(抜粋)
(設置後等の水質検査)
第7条
新たに設置され、又はその構造若しくは規模の変更をされた浄化槽については、環境省令で定める期間内に、環境省令で定めるところにより、当該浄化槽の所有者、占有者その他の者で当該浄化槽の管理について権原を有するもの(以下「浄化槽管理者」という。)は、都道府県知事が第57条第1項の規定により指定する者(以下「指定検査機関」という。)の行う水質に関する検査を受けなければならない。
2 指定検査機関は、前項の水質に関する検査を実施したときは、環境省令で定めるところにより、遅滞なく、環境省令で定める事項を都道府県知事に報告しなければならない。
(定期検査)
第11条 浄化槽管理者は、環境省令で定めるところにより、毎年1回(環境省令で定める浄化槽については、環境省令で定める回数)、指定検査機関の行う水質に関する検査を受けなければならない。2 第7条第2項の規定は、前項の水質に関する検査について準用する。
■浄化槽法施行規則(抜粋)
(設置後の水質検査の内容等)
第4条
法第7条第1項の環境省令で定める期間は、使用開始後3月を経過した日から5月間とする。
2 法第7条第1項の規定による設置後等の水質検査の項目、方法その他必要な事項は、環境大臣が定めるところによるものとする。3 浄化槽管理者は、設置後等の水質検査に係る手続きを、当該浄化槽を設置する浄化槽工事業者に委託することができる。
水道水だけを水源として、ビル、マンション等に供給する施設のうち受水槽の有効容量の合計が10m3を超えるものを簡易専用水道といい、その設置者は簡易専用水道の管理について、1年間に一回定期的に地方公共団体の機関または厚生労働大臣の登録を受けた者の検査を受けなければならないこととなっています。
鳥取県では、当事業団が登録検査機関として、県内全域の検査を行っています。
■水道法(第4章の2 簡易専用水道)
第34条の2
簡易専用水道水の設置者は、厚生労働省令で定める基準に従い、その水道を管理しなければならない。
2 簡易専用水道の設置者は、当該簡易専用水道の管理について、厚生労働省令の定めるところにより、定期に、地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者の検査を受けなければならない。
ボイラーや焼却炉などの焼却施設から排出されるガスは大気汚染防止法により規制されています。
当事業団は計量証明事業所(鳥取県登録69号、70号)として音圧レベル及び振動加速度レベルの測定を実施し、計量証明書を発行しています。
工場などの作業所で有害物質等を使用される場合には、労働安全衛生法によって作業環境測定を実施することが義務付けられています。
多種類の食品添加物の使用、輸入食品の増加など、飲食物に関する状況は年々複雑になっています。 厚生労働大臣指定食品検査機関として、安心で健康な食生活が送れるよう食品検査を行っています。
微生物学的検査
1.汚染指標
・一般細菌数:食品の微生物汚染の程度を示す指標です。
・大腸菌・大腸菌群:糞便汚染、環境衛生状態の指標です。
・耐熱性芽胞菌:加熱に対して強い抵抗性があり、食品の品質低下や腐敗に関与する菌種です。
2.食中毒原因菌
・腸管出血性大腸菌O-157:溶血性尿毒症症候群(HUS)防止対策の上から各種の食品、飲料水、環境材料などについて本菌の検査が行われています。
・サルモネラ:本菌は汚染された食肉、鶏卵、牛肉およびこれら加工製品を喫食することにより食中毒を引き起こすおそれがあります。
・黄色ブドウ球菌:本菌はサルモネラ、腸炎ビブリオとともに食中毒の原因菌として重要視され、ヒトの手指、体表や家畜にも広く分布しています。
・腸炎ビブリオ:夏期の魚介類(生食)による食中毒の大半が本菌によって起こります。
・セレウス菌:本菌は土壌、塵埃等に分布していて、食品を汚染し腐敗の原因となります。
なお、レジオネラ症原因菌としてレジオネラ属菌検査も行っています。
理化学的検査